トラリピやループイフダンなどのFXリピート系注文で使われる、「すくみ」という手法を調べてみました!!
「すくみとは何なのか」「実際に使えるのか」など、FX歴10年以上の専業トレーダーが検証結果をもとに解説します。
すくみとは
すくみとは、FXリピート系注文で複数の通貨ペアを同時に動かすことです!!
参考:計300万円投入!トラリピ・トライオートFXなどリピート系を比較
3すくみ・4すくみ・5すくみとあり、いくつかの通貨を組み合わせることでリスクを分散させます。
たとえば米ドル・ユーロ・日本円の3すくみの場合、以下のように3つのポジションを同時に取るのです。
USDJPY買い:JPYでUSDを買う
EURUSD買い:USDでEURを買う
EURJPY売り:EURでJPYを買う
これで仮に米ドルの価値が下がると、それぞれのポジションは以下のようになります。
USDJPY買い:↓損失が出る
EURUSD買い:→変わらず
EURJPY売り:↑利益が出る
つまり複数の通貨を組み合わせることで利益と損失を相殺させつつ、リピート系で値動きだけ取るという感じですね!!
僕がすくみを使わない理由
僕は当初この手法を知ったとき、「素晴らしい手法だな!!」と思いました。
しかしよくよく考えてみると、以下のような欠点が見えてきたのです!!
・すくみは両建てを複雑にしたもの
・大きく損失を出す可能性がある
それぞれについて、以下でくわしく説明しましょう。
すくみは両建てを複雑にしたもの
先ほど例に出した、米ドル・ユーロ・日本円の3すくみで考えてみましょう。
USD買い・JPY売り
EUR買い・USD売り
EUR売り・JPY買い
これは順番を変えると、以下のようになります。
USD買い・USD売り
EUR買い・EUR売り
JPY買い・JPY売り
つまり3すくみとは、3通貨の両建てと一緒なのです!!
参考:FX両建て手法に必勝法あり?負けない両建てテクニックを5つ紹介
しかし3通貨の両建てをバラして別々の通貨と組み合わせている分、両建てより複雑な形となっています。
FXトレードの手法は、なるべくシンプルにすべきです。
参考:FX手法のトレードルールはシンプルにせよ!専業になった時の失敗談
そう考えると、すくみをするより単純に両建てをした方が良いでしょう。
大きく損失を出す可能性がある
すくみの考え方の根本には、以下のような前提があります。
・通貨の価値は相互に移動しているだけ
・世界の通貨の価値の総量は変わらない
つまり米ドルが下がっても、その分だけ他の通貨が上がるから・・・
すくみだと利益と損失が相殺され、リスク分散になるということです。
しかしすべての通貨が下がるということは、実はけっこうあります。
たとえば何かしらのショックが起こると、お金は金(ゴールド)などに替えられ・・・
通貨の価値は、全体的に下がったりするのです!!
こんなときに5すくみなんかしていると、含み損は急激にふくらみます!!
なにせ5つのポジションすべて(もしくはほとんど)が、マイナスとなるからです。
場合によっては証拠金の維持が間に合わず、ロスカットとなるかもしれません。
参考:FX証拠金維持率の安全圏の目安は?レバレッジとの比較や計算方法を解説
すくみの検証結果
こうむいぬさんという方が、実際にすくみのバックテストをしています。
その結果は、以下の通りです!!
米ドル・ユーロ・日本円の3すくみ
→12年回して年利5.7%(含み損は考慮せず)
米ドル・豪ドル・日本円の3すくみ
→12年回して年利6.5%(含み損は考慮せず)
利益は出るけど、普通にリピート系を回すより効率は悪そうですね。
僕は普通にリピート系を回して、年利は約10~12%です。
参考:月平均10万円(年利11.7%)|リーマン級にも耐えうるループイフダンの設定方法
バックテストの詳細
— こうむいぬ@リピート系 (@koumuinu) 2018年11月27日
期間: 2006/6~2018/6の12年間
レンジ: 過去20年間の最安値~最高値
数量: 1000通貨
注文間隔: 100pips
利確幅: 100pips
組合せ1: EURUSD買、USDJPY買、EURJPY売
組合せ2: EURUSD売、USDJPY売、EURJPY買
豪ドルドル円3すくみバックテスト
— こうむいぬ@リピート系 (@koumuinu) 2018年11月28日
期間: 2006/6~2018/6の12年間
レンジ: 過去20年間の最安値~最高値
数量: 1000通貨
注文間隔&利確幅: 100pips
①AUDUSD買、USDJPY買、AUDJPY売
②AUDUSD売、USDJPY売、AUDJPY買
年利(含み損未考慮): 6.5%
年利(含み損清算時): 2.1%
終了時含み損額: 約180万円 https://t.co/wOCxjCN6gJ
4すくみのバックテスト結果では、利回りがいくらか分かりませんが・・・
グラフを見ると、利益が出るまでになんと3~7年もかかっています!!
4すくみバックテスト
— こうむいぬ@リピート系 (@koumuinu) 2019年3月2日
【すくみ1】
EURUSD買,EURJPY売,AUDJPY買,AUDUSD売
【すくみ2】
EURUSD売,EURJPY買,AUDJPY売,AUDUSD買
期間: 2006/6/1~2018/5/31
レンジ: 上から下まで
注文間隔&利確幅: 100pips
数量:1000通貨
※必要資金は不明なので、実現損益と含み損のみ#すくみ #バックテスト pic.twitter.com/Rwrp4gbjew
バックテストをしたこうむいぬさんは、以下のように結論付けていますよ。
ループイフダンの多通貨ペアでの「すくみ」も話題ですが、全くオススメできません。
色々長期的にバックテストしてみましたが、クソまみれになります。
ループイフダンはシンプルに運用するのが一番です。
ループイフダンの多通貨ペアでの「すくみ」も話題ですが、全くオススメできません。
— こうむいぬ@リピート系 (@koumuinu) 2018年11月8日
色々長期的にバックテストしてみましたが、クソまみれになります💦
ループイフダンはシンプルに運用するのが一番です👍️
リピート系でリスク分散するなら
リピート系でリスク分散するなら、単純に通貨ペアを分散させるだけで良いと思います!!
たとえば過去20年でキレイなレンジを描いてる、以下のような通貨ペアに分散投資するのです。
参考:トラリピやループイフダンに!リピート系注文のおすすめ通貨ペア
・EURJPY(ユーロ円)
・CADJPY(カナダ円)
・AUDJPY(豪ドル円)
・NZDJPY(NZドル円)
この中でも特に、ユーロ円とカナダ円の組み合わせは最強です!!
なぜなら相関が強く、プラススワップの方向が逆だから。
まずユーロ円とカナダ円は以下のように、相関が強いです。
なので買いと売りで組み合わせれば、損失と利益を相殺し合ってくれます。
すると値動きの分だけ、リピート系で取ることができるのです!!
参考:FXでダマシを回避したい人へ!1番簡単で確実な対策は相関係数だ
さらにこれらの通貨ペアは、プラススワップの付く方が逆です。
なのでCADJPYを買ってEURJPYを売れば、両方からスワップをもらうことができます!!
参考:ループイフダン
もちろんこの相関は完璧ではないので、値動きが一致しないこともあるでしょう。
また上で述べたような全通貨が落ちる局面では、含み損もふくらむと思います。
ただし3~5通貨の複雑な両建てをするよりは仕組みが分かりやすく、リスクをコントロールしやすいはずです!!
ちなみにこの手法は、さなさんという方に教えてもらいましたよ。
何度も読み返しました
— 中長期投資すたいる (@toushi_like) 2019年5月9日
わたし的にはリピート系では相関を用いた両建てといいますか、
それぞれを独立させつつ、同じ動きをするペアの両建て回転
LとSの組み合わせでスワッププラス もしくは、微損
松井証券さんより相関https://t.co/ONQL8V8jG3 pic.twitter.com/d9tSpsK5s0
ループイフダンが良い
「CADJPY買・EURJPY売の異通貨両建て」をするにあたって、トラリピとループイフダンのどちらが良いか調べてみました。
結果としては以下の通りで、ループイフダンの方が良いですね!!
スプレッドはほとんど変わりませんが、スワップにかなりの差が出ました。
トラリピ | ループイフダン | |
手数料 | 無料 | 無料 |
スプレッド | CADJPY 2-3pips EURJPY 3-5pips |
CADJPY 5pips EURJPY 3pips |
スワップ | CADJPY買 18円 EURJPY売 1円 |
CADJPY買 50円 EURJPY売 5円 |
※2019年5月9日時点
ただしこれらの条件は、今後変わる可能性があります。
それぞれのくわしい条件については、公式サイトをご確認ください。
トラリピ:マネースクエア
ループイフダン:アイネット証券
まとめ
すくみとは、FXリピート系注文で複数の通貨ペアを同時に動かすことです。
この手法は両建てを複雑化させたものであり、大きく損失を出す可能性があります。
FXリピート系注文でリスク分散するなら、単純な通貨ペアの分散が良いでしょう。
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