「FXで金利の高い通貨を買い、長期で寝かせておけば儲かるんじゃないか??」と考えている方へ。
スワップポイントで稼ぐことをおすすめしない理由を、FX歴10年以上の専業トレーダーがお伝えします!!
動画での解説はこちら
スワップポイントとは
スワップポイントとは簡単に言うと、「金利の差」のことです!!
FXトレードは、価格の変動(安く買って高く売る)だけではありません。
2国間の金利差によっても、利益を得ることができます。
国にはそれぞれ、自国で定めた金利があります(政策金利)。
たとえば2020年2月現在、日本は-0.10%でトルコは9.75%です。
日本 | -0.10% |
アメリカ | 1.75% |
EU | 0.00% |
イギリス | 0.75% |
オーストラリア | 0.75% |
南アメリカ | 5.25% |
トルコ | 9.75% |
メキシコ | 6.50% |
ここで日本の通貨「円」を売り、トルコの通貨「リラ」を買うとします。
するとその2国の金利の差額(9.85%)を、日割りで受け取れるのです!!
日本円の金利:-0.10%
トルコリラの金利:9.75%
9.75% - (-0.10%) = 9.85%
トルコリラ円の買いポジションを持ち続けたら、年9.85%の金利が日割りでコツコツもらえる感じですね。
毎日お金が入ってくるので、これを目当てにFXをしている人も多いです。
トルコリラのスワップ生活(一枚)
— あかんやつマン🥦 (@kabuakan) 2018年11月22日
1日100円もらえれば毎日飲み物買えるしええな。なお pic.twitter.com/ZYnvCdd99F
AUD/JPYなら1日約100円のスワップ利益♪
— 為替プロ FX外国為替証拠金取引 (@kawasepro) 2018年9月9日
通貨間の金利差で利益を得るスワップポイントで毎日稼ぐことができるのもFXの魅力です。
— ooshimaerika (@ooshimaerika) 2018年9月8日
スワップ狙いは稼げない
しかし僕は、スワップポイントで稼ぐのをおすすめしません。
その理由は単純で、儲からないから!!
金利が高い通貨って、やっぱりそれなりの理由があるんですよ。
高い金利で誘わないとお金が入ってこないということは、それだけリスクがあるということですからね。
たとえば政策金利の高いトルコは、以下のように様々なリスクを抱えています。
・エルドアン大統領の独裁
・シリアへの侵攻
・経済状況の悪化(高インフレ&高失業率)
したがって「高金利通貨の価値は下がる」というのが、国際経済学の基本です。
スワップ金利が入ってきても、長期的には為替差益で大損します。
トルコリラの10年チャートを見ると、まさに右肩下がりです!!
またトルコリラ円を10年間保有した場合の損益を、モノアイさんという方が試算しています。
それによると、スワップで400万円ぐらい儲かるものの為替差損が700万円ぐらい出るみたいです。
差し引きで、約300万円の損ですね。
今日、 #トルコリラ の悲劇を見たので、高スワップ狙いでのLポジ単純ガチホの危険性を周知したい。
— 単眼愛(モノアイ) (@mono_i_love) 2017年10月9日
仮にあなたが直近10年間トルコリラを1千万円保有していた場合、ヒロセさんのようにスワップ変動無し(但し為替差益あり)で計算すると、あなたの資産は円換算で300万円減ります。 pic.twitter.com/oRS2vwrwnK
また僕は逆の「トルコリラ売り」で、利益を上げることができました!!
参考:FX逆スワップポイント生活!トルコリラ毎月10万売り続けたら?
先進国通貨なら大丈夫か
「途上国の高金利通貨は、危険なことが分かった」
「じゃあ先進国の中で、金利の高い通貨を買おう」
こういう方がいますが、これも残念ながらあまり稼ぐことはできません。
なぜなら金利が高い局面というのは、円安が進んでいるときだから!!
たとえば2020年2月時点、先進国の中で金利が高いのはアメリカの1.75%です。
日本円を売って米ドルを買えば(USDJPYを買えば)、1.85%の金利が入ります。
日本 | -0.10% |
アメリカ | 1.75% |
EU | 0.00% |
イギリス | 0.75% |
オーストラリア | 0.75% |
南アメリカ | 5.25% |
トルコ | 9.75% |
メキシコ | 6.50% |
なぜこんなにも米国金利が高いかというと、これまで世界は好景気だったからです。
特にアメリカ経済は強く、株価は歴史的な最高値を更新していました。
では景気が悪くなると、いったいどうなるでしょう??
経済というのは波なので、好景気と不景気は交互にやって来ますよね。
結論を言うと、不景気になると円高になります!!
安全資産と言われる日本円を買う動きが増え、代わりに他の通貨が暴落するのです。
たとえば2007年のサブプライムローンと、2008年のリーマンショックで・・・
米ドルは120円から80円以下と、4割も暴落しました。
参考:ドル/円 5年チャート〔2007年~2011年〕の推移 - 為替ラボ
これだと、いくらスワップポイントで稼いでも意味ないですよね??
年1.85%の金利を受け取っても、40%も暴落してしまえば大きく損です。
不景気になると金利は下がる
「それでも長期で持っていれば、金利で取り返せるはず」
そう言う人は、大事な視点が抜けています。
不景気になると、金利は下がるんですよ!!
景気が悪くなるとみんな財布のヒモを閉め、贅沢をひかえるようになります。
するとお金の循環が悪くなり、ますます景気は悪くなっていくのです。
それを防ぐために、各国の中央銀行は不景気になると政策金利を下げます。
金利を下げてお金を借りやすくし、お金をドンドン使うよう誘導するのです。
実際にアメリカはリーマンショック後、ゼロ金利政策を始めました。
それから9年半もの間、金利はゼロのままだったのです!!
参考:FRB:米ゼロ金利解除 利上げ9年半ぶり、0.25% 金融政策正常化へ イエレン議長「緩やかに変更」 - 毎日新聞
つまり、リーマンショック前にスワップ目的で米ドルを買った人は・・・
ずっと大きな含み損を抱えたまま、金利もつかない米ドルをただ持っていたことになります。
これはさすがに、資金効率が悪すぎるでしょう。笑
実際に僕もリーマンショック前、スワップ目的で豪ドルを保有していました。
しかしそこで大きく失敗し、今ではスワップ目的のFXトレードをしないようにしています。
参考:FXで大失敗し大損!精神崩壊した僕がどうやって立ち直ったか?
FXで長期投資するなら
FXで長期投資をするなら、スワップを目的にするのではなく・・・
「安く買って高く売る」という、金融取引の王道を進んだ方が良いです!!
実際に僕はそれでイギリスポンドを買い、初年度は15.7%で2年後は9.1%の利回りを出せました。
参考:ポジション持ち続ける!FX長期保有で簡単に利益を出す方法は?
その間、一度も含み損になったことはありません。
2%のスワップ金利を稼ぐよりずっと利回りは大きく、精神的にも楽でしたよ。
まとめ
スワップポイントを目的にFXトレードをしても、稼ぐことはできません。
なぜなら金利で稼ぐ以上に、通貨自体の価値が落ちて損する可能性が高いからです。
FXトレードをするなら、あくまでも王道の為替差益を狙いましょう。
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